公開: 2023年4月12日
更新: 2023年5月14日
古代ギリシャの哲学者達が物事を説明する方法として考え出した弁証法では、ある主張が正しい主張だと考える時、その主張の正反対の主張を想定して、本来主張したいことと、その正反対のことを並べ、対比して比べることで、どちらがより正しそうかを考えます。これは、説明のための方法であり、ある主張を否定して作られる主張は、実際にはあり得ない、架空のことでも良いのです。
天国とその反対の地獄は、ユダヤ教徒が考えた天国に対して、その正反対の世界を想像して、地獄と名前を付けたのです。これは、説明のための方便であり、本当に地獄があるかどうかは、別の話です。同じことは、天使と悪魔についても言えます。神を助ける天使に対して、神とは真逆の存在で、悪を為すために生きている悪魔を助ける魔女や狼男を考え出したと言えます。魔女や狼男たちは、悪魔の手下として、善良な人間に様々な害を起こすのです。
古代の中国でも、陰陽道では、世界の物事を「陽」に類する物事と、「陰」に類する物事に弁別して論じるやり方がありました。これも、二項対立によって物事を説明しようとする2元論のやり方です。弁証法は、現代社会でも、議論の時、しばしば使われる方法です。